技術屋カツヒサの徒然日記

電子回路系エンジニアが、気になったことを何となく書いてます

リチウムイオンバッテリーの安全性について知ろう

スマホのバッテリーについて一通り書き終えたつもりでしたが、アクセス解析を見ると、多発するリチウムイオン電池爆発事故の影響か、バッテリーの安全性に関する過去記事へのアクセスが多いようなので、あらためて情報を整理しようと思います。

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まず基本的な話として、リチウムイオンバッテリーの通常使用電圧範囲は 2.7〜4.2Vです4.2Vを超えると過充電領域2.7V未満は過放電領域と呼ばれます。あとで説明しますが、過充電領域と過放電領域での使用がバッテリーの危険性を高めます

上の図は一定電流で放電していった際のバッテリー電圧曲線です。バッテリーの公称容量が2000mAhだとすると2000mAを1C電流と表現します。この例で言えば、200mAが0.1C、400mAが0.2Cです。
放電電流によって違う電圧曲線が描かれているのは、バッテリーにも内部抵抗があるため大電流放電すると(内部抵抗✕電流)だけ出力電圧が下がるためです。

見れば分かると思いますが、常に大電流を消費してホカホカ温かいスマホはバッテリー電圧が下がった状態で使ってます。バッテリー容量の少ない機種を使っている人は経験があるかもしれませんが、写真撮影のフラッシュ等で瞬間的に消費電流が増え、電圧が下がりすぎるとスマホの電子回路が動作不良(再起動など)を起こす事があります
ちなみに私のスマホは3000mAhのバッテリーが載っていますが、ただ画面を表示しているだけで200〜300mA(0.1C弱)、ちょっと操作すると600〜700mA(0.2C強)くらい消費します(Accu​Batteryアプリで測定)。

 
ところで、スマホバッテリーが膨らんでいるのを見て危機感を抱く人は多いと思いますが、リチウムイオンバッテリーは正常に使っていても膨らみます
自動車のメンテナンスを自分でやっている人は実感があると思いますが、自動車用バッテリーは開放型の構造をしているので、横に倒すと電解液がこぼれてしまいます。なぜ開放型になっているかというと、充放電するとガスが発生するため密閉すると内圧が高まり破裂する危険があるからです。

ガスの発生は全ての電池に当てはまりますが、大電流を流さなければガス発生量も少なく危険度が低いため密閉されています。それでも危険はゼロではないため、密閉式電池には一定以上圧力が高まると開放されるガス抜き弁があります。爆発するよりは安全に破れて中身が漏れ出したほうが安全だろうという性質のものですので、ガス抜き弁が働いた電池は使えません。液漏れした乾電池がそれです

さて、「大電流を流さなければガス発生量が少ない」ということは、大電流を流すリチウムイオンバッテリーは普通に使っていても必ずガスが発生します。下の図は18650型と呼ばれる一般的な円筒形リチウムイオン電池の構造図ですが、見ての通り圧力が高まると開放される安全弁がついています。

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危険なリチウムイオンバッテリーとは
私は、開放弁が働かず爆発するまで膨らみ続けるバッテリーが危険だと思います。私はスマホ開発に関わったことが無いので分かりませんが、良くネット上でパンパンに膨らんだバッテリーの写真を目にすることがあります。あれは、明らかに設計から危険なバッテリーだと思います。

ちなみにリチウムイオンバッテリーでは、正常電圧範囲で使っていても可燃性ガス(炭化水素)が発生します。爆発よりマシだとはいえ、安全弁から安全じゃない可燃性ガスが噴き出してきたら危険じゃないのか?ということも思いますので、それも考慮して、スマホのバッテリーには安全弁が無いのかもしれません

とりあえずバッテリーが膨らんできたら、ショップに持って行って相談しましょう。
ただし、最近の大容量バッテリーを積んだスマホはバッテリーを外せません。開けられない構造にして、スマホ本体を頑丈にして爆発しても被害を小さくするのが目的かもしれませんが、バッテリーを目視できないと危険度が分からなくて困ります

私の考える、せめてもの自衛策は以下のとおりです。

  1. 急速充電しない(ガス発生量が増えます)
  2. 過充電しない(4.1Vで充電を止めてます)
    過去記事 参照
  3. 過放電しない(3.6Vくらいが限界)


ちなみになぜ過充電や過放電がマズイかというと、正常範囲と劣化メカニズムが違っていて、どちらも多量の気体を発生します。詳細は参考サイト②を見て頂きたいですが、過充電では酸素が発生します。
通常の使用では可燃性の炭化水素が発生し、過充電領域では酸素が発生する。まさに発火時の爆発条件が整えられているわけです。

リチウムイオンバッテリーの発火事故は、10年以上前からたびたび問題になってきました。バッテリー製造に原因があった場合もあれば、充電回路側に原因があったこともあります。いずれにしても、自分のスマホが他のスマホと比べて以上に電池持ちが悪いといった違いを感じたら、メーカーに初期不良じゃないか相談するべきと思います。

私は自衛策として購入直後で何も他のアプリを入れない状態で、BatteryMixアプリで放電履歴を記録してスクリーンショットを撮っています
私の場合は特に中国メーカーのSIMフリースマホだったので、購入直後に初期化した上で、絶対に言い訳できない状態にしてから(不具合があれば)証拠を残すようにしていました。
 

 【参考サイト】
リチウムイオン電池の話:株式会社ベイサン
電力研究所 研究報告:リチウムイオン電池の劣化メカニズムの解明
リチウムポリマー電池の安全性について


とりあえず、今日はここまでとします。

「日本のきのこ」山と渓谷社 出版

以前、↓の記事で実家の母が研究者肌で、実用書を与えたら徹底的に調べ倒すと書きました。それで、そういえば「きのこ」の本でもそうだったなぁと思い出したので書いてみました。

katsu-blog.hatenablog.com

私の両親は2人とも北海道の生まれですが、生い立ちは随分と違っていたそうです。父は大地主の生まれで食事に困ったことなど一度も無いおぼっちゃん育ちなのに対して、母は貧乏な家の生まれです

母方の祖父は本州生まれで、1人で北海道(網走)に入植し、土地を開拓するところから始めて1代で広大な水田を持つに至った努力の人でした。母はその苦しい時期に育っており、子供の頃から食事の全てを担当していたそうです。料理の全てではなく「食事の全て」が担当です
つまり、食材が足りなければ山に行って山菜を摘んだり木の実を探したりしていたそうです。

そのため母は生活力が強く、食べられる食材に対する知識に貪欲です。もともと食べられる野草や間違えやすい毒草には詳しかったのですが、私の中学卒業と同時に引っ越した先の家周辺には、すごくたくさんの「きのこ」が生えてました。

とにかく多種類のきのこを採取して写真を撮って図鑑化し、食べられるかどうか調べだしました。虫が食べている物は基本的に食べられるとも言ってましたが、決定打は家で飼っていた猫です。普段は外を徘徊している野性的な猫で、何でも食べますが毒物だけは絶対口にしません

そうは言っても心配なので、山と渓谷社という出版社が出している「日本のきのこ」という本を買ってあげたら、翌年帰省したときに食材が「きのこ限定で」激増してました(笑)
ちなみに本の感想文を書いてるサイトがあったのでリンク貼っときました。

matome.naver.jp

私も少し読んでみましたが、結構すごいですね。
猛毒きのこの味とか書いてるんですよ!
試したから味が分かるんでしょうが、舌にのせるとピリピリした刺激が・・・とか、試した人達の献身に脱帽です。


という感じで、今日はここまでにします。

 

ほとんどの風邪は、初期に気づけば漢方薬で即日治せますよ

唐突に思い立ったので、漢方薬で風邪を簡単に治す方法を書いてみました。

インフルエンザなどの強烈なものは別として、普通の風邪は5種類くらいの漢方薬でほぼ対処できます

理由は簡単。風邪の初期パターンが5種類くらいしか無いからです
そういう私も、以前は39度以上の発熱など珍しくもないくらい病弱(?)でしたが、常備薬として漢方薬を使うようになってから、ここ何年も風邪で病院のお世話になったことは全くありません。
普通のドラッグストアで買える効果的な漢方薬を5種類、挙げていきます。

  1. 葛根湯(かっこんとう)
    これが一番初期症状を見落としやすいで、しかも初期(1〜2日くらい)しか効果が無いため、世間では最も役立たずの漢方薬の1つでしょう。
    ところが、適切なタイミングで使えば絶大な効果を発揮します。
    体を冷やしたことが原因で出てくる、次のような症状を自覚したら即、使ってください。空腹時にいつでも飲めるのも、漢方薬の利点の1つです。

    ① 急に肩が痛んだり、節々がこわばる。
    ② 寒気がする(発熱有無は関係ない)。
    ③ 汗が出ない。

    特に①が「気のせいだろ」と思われて、薬を飲むタイミングを逃してしまうことが多いです。
    これは寒さで免疫機能が低下しているところに風邪の細菌が感染しつつある状態で、免疫機能を高めて細菌を殺すために体温を上げようとしている段階です。
    寒気がするのは体を震わせて熱を発生させるためですし、発汗は体温を下げるための身体機能ですから働きません。

    葛根湯を一言で言うと体温を上げて発汗させる薬です。
    もちろん、体を冷やさず温かいものを食べるなどの配慮も必要です。
    必要十分なだけの熱が得られると、寒気が無くなって汗が出るようになるので葛根湯の服用は止めてください。あとは上がった熱が自然に下がるまで暖かくして養生していれば治ります。

    私の経験では、見落としそうなほどの初期段階から対応するので、ほぼ1日で完治することがほとんどです。翌朝に上がった熱が下がっていれば終了です。

    注意点として、市販の総合感冒薬を併用しないで下さい。総合感冒薬には熱を下げるための鎮痛解熱剤が必ず入っています。
    風邪を早く治すために発熱させようとしているのに、鎮痛解熱剤で熱を下げてしまったら完治まで長引きます。解熱剤は、風邪が長引いても良いから熱を下げて仕事に出る必要があるとか、これ以上熱が上がると後遺症が出る40度近い発熱時の最終手段だと考えるべきです。

  2. 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
    だんだん書くのが面倒になってきたので、どんどん行きます。
    寒さが進行していくと、本格的に咳や鼻水が出てきます
    小青竜湯は透明な鼻水が出てきたら飲めば良いので分かりやすいです。飲んで1時間もしないで鼻水が止まる即効性です。

    葛根湯と同じ方向性の薬ですから、体を暖かくしてください。「気のせいかな?」レベルの初期段階で飲めば即日で回復します

    注意事項として、葛根湯と同様に鎮痛解熱剤は併用しないで下さい
    それと、鼻水や痰の出ない乾いたカラ咳が出るときは悪化するので使用禁止です。また薬を飲まずに放置したり体を冷やし続けると、初期段階を過ぎ熱が出て鼻水が黄色くなってきます
    汗が出たら葛根湯の服用を止めるのと同様、鼻水が黄色くなったら小青竜湯の適用症状から外れるので使用せず、おとなしく布団で養生して下さい

    あと蛇足ですが、実は花粉症などアレルギー性の鼻水にも効果があります
    花粉はマスクで防ぐのが基本ですが、ふとした瞬間にクシャミ・鼻水が止まらなくなり困ることがあると思います。そんなとき、カバンに1包の小青竜湯を入れておけば助けられることも多いです(経験談)。

  3. 銀翹散(ぎんぎょうさん)
    寒さが進行していったときの別パターンとして、扁桃腺が腫れて喉が痛くなることがあります。このような上気道の炎症に対して、銀翹散は即効性で効きます。私の人生で銀翹散を2日以上飲み続けたのは1回だけで、普通は1包飲めばいつのまにか完治してます

    炎症を抑えるため冷やす薬ですが、寒熱が混在することも珍しくないので、温める薬である葛根湯や小青竜湯とも併用可能です

    かなり強力に効きますが、早期に対処した方が良いのは確かです。意外と気づかないですが、「鼻詰まり」は鼻の内側が腫れて塞がれている状態ですから初期症状の1つです。

  4. 麦門冬湯(ばくもんどうとう)
    小青竜湯は乾いたカラ咳では使用禁止と書きましたが、ういうときに使用するのが麦門冬湯です。
    小青竜湯は乾かす薬なのに対して、麦門冬湯は潤す薬です。

    特に冬場はエアコンで部屋が乾燥しがちで、気づけば湿度が30%以下になっていることもあります。そういう環境で肺が乾燥すると乾いた咳が出て、放置すると気管支炎や肺炎に発展しますので、その前に麦門冬湯で対処します。
    また、濡れタオルを干して部屋の湿度を上げたりマスクを着用して吐息の湿気で乾燥対策するのも効果的です。

    言うまでもありませんが、箱に「咳に効く」と書いてあるからと小青竜湯を使うと激しく悪化します
    小青竜湯とは真逆の働きをする薬だと覚えておきましょう。

  5. 藿香正気散(かっこうしょうきさん)
    正直、この薬のお世話になった回数は少ないのですが、吐き気を伴う夏風邪などに効果があるとされています。

    吐き気に効いているのは、この漢方薬を構成する生薬の1つである半夏(はんげ)ですので、半夏が使われている漢方薬はみんな同様の効果があります
    私の場合、最初に使ったのが藿香正気散でしたが、病院によっては別の薬を出してくれるところもあります。

    私は体質的に、吐き気を伴う風邪にかかることがほとんどありませんが、寝不足や徹夜で吐き気がするとか、二日酔いで吐きそうだという場合にも効果があるので、意外と社会人全般に需要がありそうです

だんだん駆け足で書いてしまいましたが、全て私自身の体で人体実験済ですので効果は信用してもらって良いと思います。

ふと気づいたら文字だけの記事になってしまいました。
写真がないとアイキャッチ画像?とかが登録されないみたいなので、適当な本の写真を載せてみました。うちには書棚の1段まるまるくらい漢方系の書籍があるのですが、これは最も詳しいと感じている書籍の1つです。ちなみに上下巻あわせて厚さが10cmくらいあります(笑)。

Amazon: 山本厳の臨床漢方

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私事ですが、実は私の母が非常に体が弱くて昔から漢方薬のお世話になっています
病院も頼りにならず、逆に人混みで余計な病気を移されてくる始末ですが、良い漢方薬剤師に出会えたおかげで助かっていると常々言っています。 母は性格的に研究者肌なのか、「薬代を払うだけじゃ勿体無い」と言って、いつどんな症状で何という薬を処方され、どういう効果が出たかを全てノートに記録していたそうです(漢方薬だけじゃなく病院の薬も全て)。

それで私も興味を持ち、中医学漢方薬に関する書籍を買い集めて勉強するようになりましたが、その際、これは良いと思った書籍を母にもプレゼントしたところ、隅々まで読んでびっしり書き込みをし、丁寧に扱っていても本が分解しそうになるくらい使い込んでます。まさに、飢えた野獣に肉を与えたような状態です。
体を張った人体実験に基づく豊富な経験に、理論だった知識が与えられた瞬間です。

本人の体が弱いだけに、ありとあらゆる薬を実際に使ってきた実体験に基づく知識は下手な医者よりも豊富だったりします。
実家の近所に病院(整形外科)があり、田舎で病院も少ないので風邪でも何でもそこに行くのですが、母が行って医師に頼むと漢方薬なら何でも取り寄せてくれるので、保険適用の金額で買えるので助かってます。

高齢の医師なのですが、母の方が漢方薬に詳しいと分かっているため、薬の効果や注意事項などを母から熱心に聞き出してメモをとっています。それでだんだん、あの病院の先生は漢方薬に詳しいと評判になってきました(笑)。
今では病院に行くたびに「今日は必要な漢方薬ないの?」と逆に聞かれるようです。

とりあえず、今日はここまでとします。

ゆうパックで電話機を送るだけなのに、電池を内蔵していたせいで色々苦労した話

先日、Amazonで実家用に電話機を購入しました。
実家に電話するたびに母→父と順番に長電話に付き合わされて大変なので、2人同時に話せるように、1mくらいの距離からハンズフリーで会話できるものが欲しくて探していたのですが、価格コムのクチコミ情報とかで探し当てることができました。
ちなみに私はPanasonic製の電話を使っていたので何となく同じメーカーで探していたのですが、このメーカーでは全く無いのにメーカーを変えたらすぐ見つかりました

www.amazon.co.jpそれで、この電話を郵便局からゆうパックで送ろうとしてトラブル発生です。
郵便局員に箱と伝票を渡して、日数と金額を確認します。

カツ:明後日の午前に着きますよね?
局員:大丈夫です。中身は電話機ですか?
カツ:はい、そうです。
局員:バッテリーは入ってませんよね?
カツ:え?
局員:バッテリーは航空便に乗せられないので日数がかかるんです。
カツ:親子電話ですからバッテリーくらい入ってると思いますが。

そう言うと、局員さんはマニュアルらしきファイルを5冊ほど出してきました。うわっ、面倒くせーと思ったのは内緒ですが、多分局員さんも同じことを考えていたでしょうね(笑)。

どうやら航空便不可のものと、ステッカーを貼れば乗せられるものがあるようです。でも包装基準とか聞かれても、その規則も初耳なのに分かるはずありません。


正確には「リチウムを含む電池」が対象になっていて、発火性が高いので防火対策をしてから飛行機に載せるみたいです。スマホやパソコンに使っているリチウムイオン電池はもちろん、時計のボタン電池なんかも対象になります
私は知りませんでしたが、クロネコヤマトの宅急便とかも専用ケースに入れて対応してくれているそうです


それで、これが問題のステッカーです。

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種類と、包装基準と、連絡先電話番号を書きます。
種類は「リチウムイオン電池」か「リチウム金属電池」の2択です。リチウムイオンバッテリーとリチウムポリマーバッテリーは、ひとまとめで「リチウムイオン電池」になります。それ以外のリチウム電池(充電できない電池全般)は「リチウム金属電池」になります。

その2択の中で、細かく包装基準が分かれていて基準番号がついています


リチウムイオン電池の場合】

  1. 電池単体(基準=965)
    空輸不可
  2. 電池と機器を同梱(基準=966)
    電池1個あたり20Wh(≒5400mAh)を超えると空輸不可。
    複数個をパックした組電池は、合計100Whを超えると空輸不可。
  3. 電池が機器に内蔵(基準=967)
    空輸不可の条件は2番目と同じ。
    ただし例外としてボタン電池の場合は、ゆうパックラベルの品名欄に「腕時計(リチウムボタン電池)」などと書けばラベル貼り付け不要で空輸可能。

【リチウム金属電池の場合】

  1. 電池単体(基準=968)
    空輸不可
  2. 電池と機器を同梱(基準=969)
    電池1個あたりリチウム量1g(≒3000mAh)を超えると空輸不可。
    複数個をパックした組電池は、合計2gを超えると空輸不可。
  3. 電池を機器に内蔵(基準=970)
    空輸不可の条件は2番目と同じ。
    ただし例外としてボタン電池の場合は、ゆうパックラベルの品名欄に「腕時計(リチウムボタン電池)」などと書けばラベル貼り付け不要で空輸可能。

ということです。

正確なルールは、下に日本郵便のリンクを乗せておいたので、必要なら見てください。
郵便局員によっては、規則を全く理解していなくて「電池=全て送れない」とか言い出す人もいるそうですが、リンク先の別紙1を見せてあげると沈黙するでしょう。

私に対応してくれた局員さんは親切に色々調べてくれましたが、「ちゃんと書かないとX線検査で引っかかってバレますから」とか言ってました。
いや、それでバレるなら手荷物チェックでノートPCとか取り出す必要ないんじゃないか?とか、アルカリ電池やマンガン電池は対象外なんだから区別つかないんじゃ?とか思ったのは些細なことです。

www.post.japanpost.jpあと大事なことですが、空輸できなくても陸送はできるので、ゆうパックが使えないわけではないということは覚えておきましょう。ただし、距離によっては日数がかかることになります。

 

というわけで、今回は唐突な豆知識でした。
今日はこれまでとします。

スマホバッテリー延命用、「超低速」充電器の制作(3)

手作り感満載のハリボテ箱に入ってた充電器ですが、100均で買ってきたタッパーのような容器に入れることで、なんとかそれっぽい外見になりました。これで潰れる心配をしなくてもカバンに入れて持ち歩けます(笑)

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実はこのケース、中身は結構スカスカです。
結構深いタッパーなので無駄に分厚くて、カバンの中で邪魔で仕方ないです。ちなみに裏から見た写真を見てもらうと、どれだけ無駄な面積をとっているか分かります。

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 ユニバーサル基板が2枚並んでますが、下側の基板はほとんど何も使ってません。強いて言えば、上の基板からはみ出したパワートランジスタヒートシンクが乗っかっているくらいでしょうか?
結構大きなヒートシンクなので、ブラブラさせてると邪魔なので基板表面にアルミテープで貼り付けてあります。とはいえ、このキットが想定していた自動車用バッテリーを充電するわけでもありませんし、流す電流は0.5Aにも満たないものです。
ほぼ発熱しないので外してしまっても問題ないと思います。

 

ちょっと持ち歩くには邪魔なので、小型化を優先して、もう1台作ってみようかと考えてます。毎日使う充電器ですから、職場や出先で使うのに持ち歩くだけでなく、自宅用にも1台あっても良いでしょう。
今回で大きさとかもだいたい分かりましたので、小型のケースを一緒に注文しても良いですし、結局使わない部品や基板が入ってたキットでなく部品バラ買いした方が安いかもしれません。

 

最後に、ほんの2日ほどの使用でバラバラにしてしまった手作りケースに感謝を込めて合掌したいと思います。

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ということで、今日はこれまで。

 

 

スマホバッテリー延命用、「超低速」充電器の制作(2)

昨日製作したスマホ用充電器ですが、一晩かけて効果を検証したところ目標どおりスマホが消費した分だけ電力を供給してくれました。

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上のスクリーンショットは、BatteryMixアプリで記録したバッテリーの電圧履歴です。
見ての通り、バッテリー保管に優しい80%電圧を維持しつつ、スマホの電力消費による放電を押さえています。この状態では、バッテリー自身は全く充放電していませんので、劣化する要素がありません。

なお茶色のグラフはバッテリー温度ですが、充放電していないため20℃以下の低温を維持できています。実はリチウムイオンバッテリーは高温環境で保存すると劣化しますので、皆さんも夏場の炎天下や車内に放置したりしないように気をつけましょう。

同じ理由で、USB充電器などを使った急速充電はバッテリー温度が急上昇するのでバッテリーに優しくありません。時間があるときは通常速度で充電してあげるのが良いでしょう。急速充電するかどうかの判定はスマホ側でやっており、詳細は以下のブログに詳しく書いてありました。

知らなきゃ損するiPhone、iPad、Android、タブレットなどの急速充電の仕組み - 瀧(TAKI,Yasushi)/紅呪(kohju)のBlog

良く分からなければ、とりあえずデータ通信できるUSBケーブルと、普通のUSB充電器を使っていれば通常充電(500mA)になります。普通のUSB充電器というのは、QuickChargeとか、Smartなんとかなど、○○を自動判別して最適な充電を・・・などと書いていないやつです。また通信できるケーブルにも、内部に抵抗が入っているなどして高速充電対応などと書いてあるものがありますが、そういうのは避けましょう。

ということで、短いですが今日はここまで。

 

スマホバッテリー延命用、「超低速」充電器の制作(1)

前回の記事で、私のスマホはバッテリー寿命に不安があることが分かりました。その対策として「いつになるか分からないけど作ろう」と書いていたスマホ用充電器ですが、あまり先延ばしにしていると私のスマホ寿命が刻一刻と削られていく気がするため、とりあえず制作に着手しました。

【要求仕様】

  1. 自然消費分を相殺する程度の小電流で、定電流充電できること。
  2. 充電電流を自由に設定できること。
  3. 過充電しないこと。
  4. 安価で簡単に作れること。

とりあえず、これくらいでしょうか?
仕様項目としては挙げましたが、3番目の過充電は心配する必要ありません。本来スマホのバッテリー充電はスマホ内の充電回路が管理していますので、USB定格の5V以内で充電している限り、フル充電以上にはなりません。まぁそのフル充電がしたくないから、わざわざこんな充電器を作ろうとしているわけですが・・・。

スマホの自然消費分と相殺する程度の電流で充電したいというのが目的なわけですが、本当に相殺しているのか確認するには、スマホのバッテリー電流監視アプリ(AccuBattery)で電流を確認するしかありません。つまりアプリ画面を見ながら充電電流を調整するために、1〜2番目の項目が必要になります。

またこの調整方法では、スマホがスリープ状態に入る(=画面が消える)と消費電力が変化してしまうので、調整した意味が無くなってしまい都合が悪いです。そこで、以前に書いた方法充電中に画面がスリープにならない設定にして使うことにします。
前回の調査では、画面表示中の平均バッテリー消費電流は300mA程度でしたので、その前後で充電電流を調整できることを設計目標にします。

簡単に作れる定電流充電回路ということで、今回は秋月電子の通販で購入できる「鉛蓄電池用充電器キット」(1000円)を流用します。NJM723Dという充電回路用ICを使ったお手軽充電器で、車などに載っている12Vバッテリーを対象にしたものですが、調整次第で今回の用途にも使えます。ただし、見ての通りキットに入っている基板は無駄に大きくてスカスカですので、今回は小さいユニバーサル基板に手配線で作ります。72x47.5mmサイズのユニバーサル基板(60円)に余裕で入る感じです。USBコネクタを載せるのにも同程度のサイズの基板が必要ですから、72x95mmサイズの基板(200円)にまとめた方が基板間配線とかしなくて良いので便利かもしれません。

※ 写真左上のダイオードブリッジと、基板上の巨大電解コンデンサは使いません。

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データシートによると、NJM723DというICは単体でも定電流定電圧充電を制御できるようですが、流せる電流が最大で150mAしか無いため、パワートランジスタを追加して使用するようです。ちなみにNJM723Dのデータシートは、客を舐めとんのか!と言いたくなるくらい使い方が何も書いていません。等価回路とかありますが、アナログ集積回路の知識がない人にとっては何の絵ですか?と言いたくなるくらい意味不明でしょう。

【充電回路の説明】

とりあえず使い方だけ簡単に説明します。

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ICの11pinと12pinが電源、7pinがGNDです。データシートには+電源とー電源と書いてありますが、マイナス電圧は扱いませんので「ー電源=GND」です。
10pinが出力端子Voutになっていて、これをそのまま出力にすることも可能ですが、IC単体では150mAしか流せないのと、ICが猛烈に発熱するため外部のパワートランジスタで増幅します。回路としては単純なエミッタフォロワー構造です。

なおICの仕様として、+電源よりVoutは3Vくらい電圧が下がります。更にVoutよりトランジスタのエミッタ電圧は0.6Vくらい下がり(BーE間ドロップ)、それから電流検出抵抗R7で少し下がった電圧が回路の出力になります。

そのため、回路の出力電圧を5Vくらいにしたければ、逆算してざっくり9V以上の+電源が必要になります。
キットには、AC100Vから自分で作ってくださいと言わんばかりにダイオードブリッジと電解コンデンサ(C2)が入ってますが、変圧トランスという、一番面倒なところを丸投げして「別途準備してください」と書いてあるあたり、とても秋月電子らしいと思います。

100V系の電源回路は、変圧トランスで重くなるしショートさせると部屋のブレーカーが落ちるので作りたくないです。

ということで、お手軽に秋月電子の電圧変換モジュール(700円)を使うことにします。電圧を上げる方向の変換は結構面倒なんですが、モジュール1つでできるので便利なものです。

 ↓電圧変換モジュール

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電源はお手軽にmicroUSBメスコネクタ(130円)から入力して、回路出力はTypeA USBメスコネクタ(120円)から取り出すことにします。

ちなみに経験則として、入出力のコネクタが同じものだとケーブルを挿し間違える可能性が高いので、両方TypeAコネクタにするのはオススメしません。

 

充電回路の動作説明の続きですが、ICは5pinと4pinがそれぞれ+入力とー入力です。オペアンプの仮想接地と同じように、これらの電位が同じになるようなVout電圧を出力します。

半導体なので温度変化で結構変動しますが、IC内で基準電圧Vrefを生成して6pinに出力してくれているので、この電圧を半固定抵抗VR2で分圧して+入力に接続します。

ー入力端子の電圧もこれと同じになるので、VR2で調整できるようになります。

ー入力端子の電圧は、出力電圧をR5とR6で分圧したものですから、逆に言えばー端子電圧の ((R5+R6)/R6) 倍の電圧が出力になります。

このキットではR5=R6ですので、VR2で調整したー端子電圧の、丁度2倍ですね。


なおVref電圧の標準値は7.15Vですので、出力電圧は0〜14.3Vくらいの範囲で調整できます。今回はUSBの規格通り、5.0Vに調整します。

13pinについてるのはICの補償用コンデンサで、安定動作するために必要なものと考えて下さい。そのわりにはICデータシートに推奨値が書いてないのが納得いきませんが。

出力電流の検出抵抗R7は、電流次第で結構発熱するためセメント抵抗を使います。キットには2種類(1Ωと5Ω)入っていて、抵抗値が小さいほど大電流に対応できるようになりますが、今回は大電流は必要ないので5Ωを使用します。
R7両端の電圧は、R7と並列に入っている半固定抵抗VR1で分圧して2pin-3pin間に入力します。2pin-3pin間電圧が0.6V以上になると電流制限機能が働き、ICの出力電圧Voutを下げることで出力電流を制限します。つまり出力電流の上限値はVR1で調整します。

今回は、流れている電流値を見ながらボリュームつまみを指で回して調整できるようにしたかったので、キット付属のVR1は使わず、パネル取り付け型の1KΩボリューム(40円)とボリューム用つまみ(20円)、それと電圧/電流測定LEDパネルメーター(1000円)を買ってつけました。
ボリュームくらいなら安いですし、指で回して調整できた方が便利だと思います。パネルメーターの方は完全な趣味ですね(笑)。どうせアプリでバッテリー電流を見ながら調整するから必須では無いのですが、なんか表示してた方がカッコイイので。

もし同じようにパネルメーターをつけたいという場合、意外と接続がややこしいので簡単な接続図を載せておきます。
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表示用電源のCOMと、電圧測定のCOMが共通になっている関係で、電流計は出力の+側ではなくー側に入ります。このため出力側USBのGNDは、少しだけ電位が浮きますので注意が必要です。簡単に言えば、入力側と出力側でUSBのGND電位がずれるから、接触させるなということです。

接触したからといって危険はありませんが、接触するとGND側の戻り電流が、電流計を通らず接触ヶ所から戻ってきてしまいますから、電流計が正しく表示されません。
例えばこの回路をアルミケースに入れると、USBコネクタがアルミケースに接触する可能性があります。そのとき、入出力両方のコネクタがケースと接触しているとアルミケース経由で電流が流れてしまうという事があります。充電されているのに電流表示が0になっている場合は、そのあたりを確認すると良いでしょう。

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実際に製作して、充電中の写真です。
充電電流の調整範囲は、実測でだいたい150mA〜400mAくらいの間でした。ちょっと使ってみた感じでは、目標どおりスマホの消費電力と相殺する程度の充電ができているようでしたが、しばらく放置して電圧履歴がちゃんと横ばいになるかどうか確認したいと思います。

ちなみにケースは適当なものが無かったので、100均で売ってた固めのクリアポケットを四角に切り抜いて、手元にあったアルミテープを駆使(?)して箱型に整形して使いました。とりあえず的な作りではありますが、カバンに入れたら押し潰されそうなので、近日中になんとか改善する予定です。


ということで動作確認までできたので、今日はこれまでとします。