技術屋カツヒサの徒然日記

電子回路系エンジニアが、気になったことを何となく書いてます

5200mAhモバイルバッテリーを開けてみた

以前から使っていた日本メーカー製5200mAhモバイルバッテリーですが、最近かなり劣化が進んできました。
壊れたらそれまで程度の考えて、今後の参考のために開けてみました。

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18650型のリチウムイオン電池が2個入っています。
電池上側に見える回路基板はコネクタ結合の2階建て構造になっていて、基板の左右両端にある各7pinの基板接合コネクタでつながっています
2階部分を外したものが下の写真になります(写真右が1階部分)。

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1階基板は充電用 microUSBコネクタが実装されており、写真では見えませんが裏側にバッテリー残量表示LEDと出力ON/OFFボタンもあることから、1階基板は全体制御(充電モード/出力モード/待機モード切り替え)と充電制御を担当していると推測できます。残念ながら、ICなどの部品名は表面印刷が薄くて読めませんでした。

2階基板には
出力用Type-A USBコネクタが2個実装されていて、電池パックからの配線2本(プラスとマイナス)が半田付けされています。電池パックからの配線は、両端の接合コネクタを通して1階基板にも直接つながっています。
また基板中央付近には「5200」と「7800」のシルク印刷があり、5200側にマジックでチェックが書き込まれています。恐らく、2600mAhのリチウムイオン電池2本を使った5200mAh製品と、電池3本を使った7800mAh製品に対応しているのだと思います。

電池パックからの配線は、フル充電状態での線間電圧が4.2Vであり、電池パックの底面は金属板で溶接接合されていることから、単純に電池2本の並列接続のようです。

下の写真は、2階基板のウラ面です。

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2階基板には出力用USBコネクタがありますが、リチウムイオン電池はフル充電でも4.2Vしかありませんので、USB用の5V電圧まで昇圧する回路が必要です。何らかの制御ICとFETスイッチらしきもの、それにインダクタが実装されていることと、マイナス側に実装されている逆流防止ダイオードの極性から推測すると、2階基板はUSB出力用昇圧回路であるようです

また基板配線は左右対称構造になっていますが、左半分には部品が載っておらず、右側回路の出力が中央の0Ω抵抗を介して左側USBコネクタにも供給されています。このモバイルバッテリーは2ポート合計2A出力仕様の製品ですが、もしかすると3本並列の大容量電池パックを使用する際に、左側回路にも部品を実装して2ポートそれぞれ2A(合計4A)まで出力できるオプションも想定されているのかもしれません。

電池パックの中身は想像するしかありませんが、2階基板上に過放電防止回路らしきものが無いことから、電池パックの中に小さな保護回路基板が入っているかもしれません
これが中国メーカー設計なら分かりませんが、少なくとも日本メーカーの設計ですので過放電保護回路くらい仕込んであると信じたいです。リチウムイオン電池は何も介さず直接に並列接続すると、どれか1つの電池が死んだ際に生きている電池から大電流が流れ込み、過熱・破裂する危険があります。
日本製リチウムイオン電池の品質を信じて直接並列接続しているかもしれませんが、高品質電池でも過放電すれば死にますので、たぶん何か入っているでしょう。

思いつきで開封したモバイルバッテリーですが、今は元通りフタを閉じて元気に稼働しています。

というわけで、今回はここまで。