18650型リチウムイオン電池の充放電回路(1)
以前、18650型リチウムイオンの生電池を購入しました。
実はこれ、以前制作したスマホバッテリー延命用「超低速」充電器に組み込めたら、電源をとれない場所でも使えて便利になるなーと、密かな野望を抱きながら注文していました。
ところがリチウムイオン電池を組み込むまでもなく、あまりにもケースが無駄に大きくスカスカだったため、普通のモバイルバッテリーが丸ごと入っちゃいました(笑)。
ちなみにこれ、先日開けてみたモバイルバッテリーです。
ということで今回はここまで・・・のはずありません(笑)。
実は制作したスマホ充電器ですが、あまりにもケースが大きすぎて持ち歩くには非常に邪魔です。
というわけで、今あるものは自宅据え置き用として、小型の充電器を1つ作ることにしました。小型化するわけですから、18650型リチウムイオン電池が立派に活躍できるはずです。
とりあえずリチウムイオン電池の充放電部分の回路構成を考える必要がありますが、まず電池のデータシートを見ないことには始まらないと思い、調べてみました。
購入した電池はPanasonic製 NCR18650B です。 Amazonで 3400mAhリチウムイオン電池 として売られていましたが、容量からして微妙にデタラメでした。どうりで容量表示がシールで貼られているわけです。製造元のPanasonicではなく、Amazonへの出店者が勝手に貼ったのかもしれません。
データシートによると、
- Typ. 3350mAh(25℃条件)
- Min. 3250mAh(25℃条件)
- 20℃条件での参考容量:3200mAh
- 充電電圧:4.2V
- 充電電流:1625mA(標準)
- 充電方式:定電流−定電圧
となっています。
最初の Typical値は製造バラツキの平均値であり、保証値ではありません。
保証値は2番目に書いてある Minimum値であり、3250mAhです。
充電式電池の一般的知識として、電流容量3250mAhというのは電流値3250mAで放電し続けて1時間持ちますという意味です。流す電流が2倍(6500mA)なら持続時間は半分(0.5時間)になりますし、流す電流が半分(1625mA)なら持続時間は2倍(2時間)になります。
この1時間で放電しきる電流値(3250mA)を「1C」と呼びます。
リチウムイオン電池は充電電流1C(3250mA)まで耐えられると言われていますが、これは急速充電時の限界値です。標準使用時は0.5C(1625mA)くらいまでの電流で充電するのが電池に優しいですよというのがデータシートに記載されている意味になります。
放電電流は最大10Cくらいまで耐えられるというような話も聞きますが、あくまでも可能であるというだけで、発熱も大きく電池の寿命にも優しくない使い方です。
下図はデータシートから抜粋した放電特性ですが、0.2Cから2.0C電流までの特性しか記載されていませんので、とりあえず最大2C(6500mA)と考えるのが良さそうです。
ここまで書いておいて何ですが0.5Cでも1.625Aですので、安物で過電流保護回路の無い1AタイプUSB充電器を使うと発火するかもしれません。
また、リチウムイオン電池に充電している状況では、スマホへの充電も同時実行している場合があり得るため、スマホ充電分と合計しても1Aに収まる程度の電流にします。
次に定電流ー定電圧充電方式ですが、簡単に書くと下図の通りです。
リチウムイオン電池は4.2V以上に充電してはいけないため、電池に固定電圧4.2Vをかけ続けるのが定電圧充電です。このとき流れる充電電流=((4.2V−電池電圧)÷ 電池内部抵抗)となるので、充電が終わりに近づくほど電流が少なくなっていきます。
ただし充電初期(=電池電圧が低い)から4.2Vをかけると充電電流が大きくなりすぎるため、最初は電流が一定値になるように電圧をコントロールする定電流充電を行います。
つまり、最初に定電流充電して途中から定電圧充電に切り替える充電方法を「定電流−定電圧充電方式(CC-CV)」と呼びます。
ここまで説明すると気づくかもしれませんが、スマホ充電器そのものが同じ方式で充電しています。定電流−定電圧充電の制御用ICを使い、充電電圧を5V固定値、充電電流をボリュームで調整できるようになっています。
ただし、私のスマホは普通にUSB充電ケーブルをつないで5Vを供給すると、1.8Aくらいで急速充電を始めてしまいます。それを数百mA程度に抑えるために作った充電器ですので、基本的に常時「定電流充電」の領域で動作しています。
てっとり早い方法としては、スマホ充電回路と同じ回路をリチウムイオン電池充電用に1つ用意して、充電電圧が4.2V、充電電流が0.5Aくらいになるように抵抗値などを選定するという方法があります。
ですが、それだと単純に回路量が2倍以上になり大型化してしまい、小さい18650型電池を使う意味が無くなるため、別の方法を検討しようと思います。
というわけで、今回はここまで。